短編集 『ゆうれいって いるんですか?』 あとがきのようなもの 二
先週は表題作『ゆうれいって いるんですか?』を書くに至った経緯を書きましたが、
今回は『天国のパスポート 策』と『天国のパスポート 善』について。
この作品を書いた裏話をする前に、どうしても言っておかなければならないことがある。
それは僕の小説の作り方の話です。
実は僕が物語を作る最初の工程は、題名なんです。
ほとんどの作品は、僕の頭の中でひらめいた題名から始まっているんです。
何か面白そうな題名を思いつく→ その題名にふさわしい話は何なのか考える→
思いついた物語の起承転結をあれこれと練る→ 練り込めたら書いてみる→
書き切れなかったらボツ、書き切れたら○
というような作業なんです。
これはすべて頭の中の作業です。
作品の構成をメモに書いたり、登場人物のキャラクターや人数など
すべて頭の中で作り上げます。
ですから下書きやメモなどはほとんどありません。
こんな作り方ですので、書いてるうちに登場人物の数や個性や物語の進行に
つじつまの合わない事が多々起きます。
ですからそれまでに書いたものを何度も読み返して、続きを書くわけです。
別の仕事を持っているわけですから、毎日書けるわけではありません。
日にちをおいて書くことは、それまでに書いていたものとの整合性をとることが難しいのです。
だって、それまでに書いていたことの半分ぐらいは忘れているのですから。
特に僕の場合、執筆する時間は深夜です。それも夜中の2時、3時から。
書きながら酒も飲んでいるので、当然書いた内容などの大半は起きた時に忘れているのです。
そんなことを何日も繰り返しながら、一つの作品が生まれます。
けっこうしんどい日々なのですが、一つの作品を書き上げた時の達成感は半端ではありません。
快感、快楽、オルガスムス、自画自賛・・・ そして虚脱感・・・
一つ作ると、しばらく次の作品には手が付けられないのです。
それが『天国のパスポート』という題名が、僕の頭に浮かんだ時、
いきなり2つの物語が出来上がったのです。
この続きは次週に・・・
きあき秀行
短篇集 ゆうれいって、いるんですか? – 電子書籍出版 クリスタルウインド